〜ますたんぐ物語〜
「これからハクロ将軍に謁見しに行かなくてはならないのでね。」
大袈裟で形式的な溜め息を付いて、マスタング大佐は黒いコートを羽織った。
「列車の時刻が近いので、すまないが今日の件はまた後日改めて来てくれないか。」
「うわー何だよそれ、今日来いっつったの大佐の方じゃねーか。」
「ははは、約束の時間に30分も遅れて来いとは云った覚えは無いな。」
遅刻を指摘され、押し黙る事しか出来なくなったエドワードをいいことに、
マスタング大佐はにやりと、何処か策略的なものを含んだ笑みを浮かべて少年を見下ろした。
彼にとってしてみればその言動は、作為的でもあったことは事実だが、
むしろ染み付いた癖のようなものでお決まりのポーズだったのだが、
それが分かっていてもエドワードはそのひとつひとつの言葉と仕草が苛立ちを募らせるものであった。
(ハクロにたっぷり説教でもされて来やがれこの無能。
さらに云えば午後の降水確率は70%なんだぜ。無能70%だぜ。)
そんなことを内心呟きながら、エドワードは醒めた眼でマスタング大佐を眺めていたのだが、
彼の沈黙を言い返せない悔しさと思ったらしいマスタング大佐は、未だ微笑を崩さずに居た。
「書類は預かっておこう、机にでも置いておいてくれたまえ。」
それだけ云い終えるとマスタング大佐は兄弟を執務室に残し、部屋を後にした。
心なしかエドワードの視線に妙に厭な感覚を覚えたのは、恐らく気のせいだと思う事にした。
途中、数人の軍人達がせわしなく動き回る部屋に向かって声を掛けた。
「ハボック、行くぞ。」
「中尉、そろそろ時間だ。」
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