黄昏の檻 9

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日も今日とて待てど暮らせど吉報が来ない、と云いつつも、

此の里に来た当初の目的を忘れるくらいにはマイペースに生活していた。

 

昨日は昼下がりに、先日見つけた赤い暖簾の甘味処へ一度ふらりとお茶をしに行ったのだが、

また同じ長椅子に「みたらしさん」が居るのを見つけて、其れが何だかとても微笑ましく思えてばれないように小さく微笑んだ。

 

よっぽど甘いものが好きなのだろう、彼女は上機嫌に、今日は三色団子を頬張っていた。

ただし量の半端無さは依然変わらない。ブラックホールは健在のようだ。

しかし其れが彼女の普通なのだと慣れてしまえば、もう気にならな…い訳も無かった。

正直何回見ても慣れない光景である。

 

私は店内の二人掛けのテーブル席に座り、みたらし団子を常識的な本数で注文した。

「みたらしさん」が此処に通う理由がわかるくらい、味の方はなかなかであった。

 

そうして、毎日の有り余る時間をこれからどう過ごそうかと少し眉間に皺を寄せて考えながら、また日暮れ時に宛も無く散歩に出ていた。

近頃は夕刻の散歩が日課になりつつある。

人々が一日の仕事を終えて帰路に着く此の穏やかな時間帯に出歩いては、沈み行く太陽の緋色とゴールデンアワーを楽しんでいる。

此の里は夕焼けがとても美しい。

 

「あぁっ、ねぇちゃん!?」

 

顔見知りになりつつある花屋の店主と挨拶を交わしつつ、大通りの端っこをほたほたと漫ろ歩きしていると、

横手の路地から大通りへと入って来た四人連れの一人に突然素っ頓狂な声で呼び掛けられて、驚いて振り返る。

私をねぇちゃんと呼ぶその騒々しい声にはよくよく心当たりがあった。

私に呼び掛けるその声はひどく驚いたようであったが、特に私が里をうろついていても、そう不思議な事は無いと思うのだがと苦笑する。

 

「ああ、ナルト君。こんばんは。お久し振りですねぇ。」

 

云いながらてろりと丁寧にお辞儀すると、ちょっと戸惑ったように照れ笑いをしながら、彼はばたばたと私に駆け寄って来る。

その姿は随分と土埃に塗れ、顔にも泥がついていた。忍者的な活動でもしてきたのだろうかと考えながら彼を見遣り、

最後に会った時と変わらない彼の、一つだけ変わった部分をじっと見る。

其の視線に気付いて、ナルトはひどく誇らし気に其れに触れながら私を見上げて来た。

 

「卒業試験合格、おめでとう御座います、忍者殿。」

 

にっとまるで共犯者のように笑って祝辞を述べれば、彼の額で夕日を反射するのは、彼があれ程欲しがっていた、忍者の証。

 

「へへっ、オレってばもう立派な一人前だってばよ!」

 

誇らし気に自慢するように忍道がどうの火影がどうのと捲し立てるナルトの、その背後から視線を感じてふと見れば、

訝し気にこちらを窺う、彼と同じくらいの年頃の少年と少女、そして、其の後ろに立つ銀髪の背の高い男に気付く。ん、銀髪の忍者…?

 

「あ、不法侵入者さん。」

 

「…は?」

 

不意打ちの(一方的な)再会であった為にうっかり口を滑らせる私だった。

一番まずい発言をしてしまったと内心焦ったが、無理矢理何も無かった方向に持って行く事にして、

自分の先程の失言にきょとんとする一同を強引にオールスルーして、後ろの人達は君のお仲間ですかとナルトににっこりと話し掛けた。

 

「え…あ…あ、ああ!そうだってばよ!

 其処のかわいー女の子がサクラちゃんで、そっちのすかしてるのがサスケ。

 其の後ろにいるのが、カカシ先生!」

 

意外な経緯からようやく「不法侵入者さん」の本名が判明したのであった。

そして、サスケと云う名の少年が視界に入った所で、「忍のすることだ、何でもありだろ?」と云う台詞が頭を過った。

サスケ違いである。…また違うアレが降臨しちゃった。

(名前が判明してなお彼にあだ名をつけるとすれば、是非「天狐仮面」と呼びたい、とかどうでも良い事を考えた。)

 

「…ナルトと知り合いですか?」

 

のんびりとした低い声に、ぱっと銀髪の忍者、カカシを見上げて、名乗りながら会釈する。

彼もまた私の潔い程に無茶なスルーを甘んじて受け入れてくれたらしい。マジごめん。もう云わない。でも反省もしてない。

 

「御存知かもしれませんが、わたくし、岸辺の使いの者でと申します。

 諸事情により、ナルト君の隣室に滞在させて頂いております。」

 

「ああ、岸辺様の…。俺はこいつらの担当上忍のはたけカカシってもんです。

 いやーナルトが世話になってるみたいで。」

 

たんとうじょうにんって何だと思いつつも、何となくニュアンスからちょっとグレードの高い忍者なんだろうと勝手に納得し、

こちらこそナルトには世話になっているだのと、適当な初対面の社交辞令的な会話を交わす。

 

胡散臭いしかったるそうに話す人だなぁと正直な事を考えながら、少し低い所にある二つ分の視線にも向き直り、

同じように丁寧に名乗ると、戸惑いながらもそれぞれ改めて名乗り返してくれた。

春野サクラにうちはサスケか。頭の中で繰り返して顔と名前を覚えるように努める。

あんまり急に知り合いが増えると、私の貧弱な記憶力では名前を覚えきれなくなってしまいそうだ。

 

互いの認識が出来た所で、またナルトがうきうきと声をあげる。

其れに返しながら、それにしても砂まみれですねぇと気になっていた事を切り出すと、

彼は一人前の忍者になったから任務についているのだとまた誇らし気に云う。

忍者と云う職業の特性上、守秘義務は絶対なのであろうと、敢えてそうですかとだけ云い、

其の内容に迄は言及しない事にしたのだが、其の私の配慮に回し蹴りを食らわせて踵落としで止めを刺すかのように、

新米忍者・うずまきナルトは何の躊躇も無く仕事内容を暴露した。

 

本日の任務は草むしりだそうだ。

…其れは其れは、大変、難易度の高い、危険な、任務である。

そしてどんなアグレッシヴな草むしりをしたらそこまで全身が砂まみれになるのか、私は君に小一時間問いつめたい。

後ろの三人の目立って汚れの無い服装を見て、私は彼の将来に対して二度目の心配をした。

 

「それは大変でしたでしょう。お疲れ様でした。

 …所で、その仕事に関して、守秘義務は無いのですか?」

 

どうしても気になったのでさりげなく促そうと思ったのだがついストレートに尋ねてしまった。

しかし少年はきょとんとした顔で首を傾げ、その曇り無い綺麗な縹色の眼で私を見上げてくるので、

ストレートに云おうが婉曲表現しようがどちらにしろ意味が通じなかった事を悟り、取り敢えず笑っておく事にした。

 

「はぁ…ナルト、お前ね、忍じゃないさんに其処まで気を遣わせといてそりゃ無いでしょ。」

 

呆れたように肩を落として云うカカシは、不満げな顔で抗議するナルトに私の真意を端的に諭す。

ちょっとやる気は見当たらないが、其の光景だけ見てるとカカシが教師のように見えた。

いや、先生って呼ばれてるし当然なんだけれども。

どうにも窓からにょきっと生えて来たあの衝撃が忘れられずにいる私だった。

初対面の印象は大事だと云う話だ。

 

「…わかったってばよぉ…。」

 

ちょっと不貞腐れながらも納得するナルトに私はにこりと微笑んだ。

 

「分かって頂けて良かったです。

 君が不利益を被っても、私は痛くも痒くもありませんが、

 後々、重要機密を知ったの何だのと、私が難癖つけられるのは御免被りまする故。」

 

あまりにもあんまりな云い様に若干その場に失笑が流れたが、いち早く気を取り直したのはやはりナルトである。

良くも悪くも空気を読まない彼は思い出したように私に尋ね掛けた。

 

「そういえば、ねぇちゃんは何処に行くんだ?」

 

立ち話をしている間に早くも夕日は地平線に飲み込まれ、世界は既に宵闇の帳が降りている。

星のちらほらと瞬き始めたのを見て、私はのんびりと意味も無く頷いた。

 

「特に目的地があった訳ではありません。ただのお散歩ですよ。

 ついでに、どこかでお夕飯でも頂いて帰ろうかと思いましてね。」

 

「…あ!

 じゃあさじゃあさ!皆で一緒にラーメンでも食べに行こーぜ!!

 飯は大勢で食った方が美味いってばよ!なっ!」

 

またラーメンかよ、と思わずそちらに突っ込んでしまったが、誘いに乗るとも乗らぬとも答えかねて、少し首を傾げて見せる。

どうしたものかと考えていると、その名の通りの桜色のロングヘアーを靡かせた少女がきっとナルトを睨んで諌める。

 

「ちょっとナルト!

 いきなり何云い出すのよ、さんが困ってるじゃない!」

 

「あ、いえ、私は…」

 

「まぁまぁいいじゃん!!ねーちゃんもいいよなっ!?

 それにさ、オレってばいい事思いついたんだって!」

 

ナルトはにこにこ、と、にやにやの狭間を彷徨う悪戯っぽい笑顔を浮かべながら、

彼を批難するサクラと眉間に皺を刻むサスケの腕を無理矢理引っ張り、私達から少し離れた所で何やらひそひそと密談を始める。

 

 

はぁ、と小さく溜め息を吐いて、事の成り行きを見守っていると、いつの間にかすぐ傍にカカシが立っていて少し驚く。

いつの間に。っていうか近いんですが。

 

「はは、いろいろとすみませんねぇ。」

 

「とても賑やかで、見ていて楽しいですよ。気に為さらないで下さい。」

 

「いやー、『不法侵入者』には参りましたよ。」

 

会話が噛み合っていない。

しかも今になって其の話題を蒸し返すのかと少し苛っとした。

先に失礼な発言をしたのは自分だと云う事実はもちろん見ない振りである。

 

そう云えば、先程互いに自己紹介をしたときも少々訝し気な顔をしてしまいそうになった。

初対面であるには違いないが、彼は恐らく私の事を既に知っていたはずだ。

カカシは先日のあの時こちらに視線は向けなかったが、私には確実に気付いていた。

岸辺の使者だと云うその辺りの事情も恐らくは事前に知っていたのではなかろうか。

容貌にしろ言動にしろ、どうにも食えない人のようであった。

 

「…無礼な発言をしてしまい、申し訳御座いません。

 あんまり驚いてしまって、気が動転してしまいました。

 それに、私は窓から出入りする習慣が無かったものですから。」

 

「ははは…」

 

若干の皮肉を含ませた物言いに渇いた苦笑いをこぼすカカシに、適当な愛想笑いを返した。

そしてふと、彼は穏やかながらも真摯な眼をして、呟くように云う。

 

「…ナルトに、良くしてくれてるみたいで。」

 

彼もまた先生と云うよりは保護者のような眼をしてそんな事を云うので、微笑ましい気持ちでからりと笑う。

まったく此の里は、いや、此の世界は、本当に面白い人たちがいるものだと、呆れるやら和むやら。

 

「困っていた余所者の私に、先に良くして下さったのは彼の方です。

 少々こまったところも御座いますが、素直な良い子ですね。」

 

まだ何やら話し込んでいる子供達の方を眺めてゆるりと微笑みながらも、頬にじっとカカシの視線が刺さっているのは知っていた。

ナルトに会った回数は片手で収まる程度だが、それでも方々から彼に向けられている視線の特殊性は私でさえ気付ける程あからさまだった。

理由は分からないが、時折見える嫌悪とも憎悪ともつかぬ里人のその視線は、

余所者である私に向けられるものとはまた根本的に由来の違ったものであるようだ。

 

私が詮索する事ではないし、彼も私に同情される謂れなど無いだろうから、

私はただいつものように裏側に透けるもの全てに見ない振りをして、其の代わり、せめて目の前の事実だけを認識することにした。

ナルト少年は悪い子ではない。そこまでは部外者の私が知っていてもいい範囲内だ。それ以上も以下も無い。

 

そんな、一線を引いた、他所の事情に迄は首を突っ込む気は無い、と云う私の意志を暗に感じ取ったらしく、

カカシは、まぁちょっとアレだけどね、と肩を竦めて茶化してみせた。

だが内心、だよねーちょっとアレですよね、とつい同意してしまった事は内緒にしておく。

 

 

 

「あの、さん!よかったら私達と一緒にご飯食べにいきませんか?

 私も是非ヒビキさんとお話したいなー、なんて!」

 

「どーせねぇちゃん暇なんだろ?行こうってばよ〜!」

 

「…フン。」

 

ナルトのそれは、余計なお世話である。(放っとけ!好きで暇してるんじゃないですよちくしょう!)

思わず生温い笑みを浮かべつつも、密談が漸く終わったのか、いつの間にか私の前に三人の子供達が立っていて、

思い思いの態度で私をしきりに誘い出した。どういう風の吹き回しかは知らないが、

ナルトをきつく窘めていたはずのサクラまでにっこりとややわざとらしい笑顔を浮かべている。

ちなみに私にはサスケはただのツンデレにしか見えなかった。

 

真意の程は分からないが、彼らには彼らなりに何らかの思惑が別にあるらしく、

私はそのダシに使われているようだったが、個性的過ぎるメンバーを観察するのはなかなか良い暇潰しになる。

私は私で人間ウォッチングを目的にその企みに敢えて乗ってやる事にした。

 

三人に笑いかけながら頷き、私は構いませんよとカカシを窺うと、三人のやや必死過ぎる視線が一斉にカカシを突き刺す。

…このひとに何かあるんだろうかと内心思いつつ返事を待てば、

んー、と少し勿体振って考えた後で「ま、さんが迷惑じゃなければ構わないか。」と演技がかった笑顔を片目だけで見せる。

しかしまたラーメンか、今日はあんまそんな気分じゃねぇな等と思いながらも五人でだらだらと一楽に向かった。

 

 

 

 

 

相変わらずの店構えを見遣りながら、少し前にそうそう此処に来る事もなかろうと考えていた自分を思い出し、

俯いて見えないように苦笑をこぼしながら皆に続いて暖簾を潜る。

端からナルト、サクラ、カカシ、サスケ、私と云う何だか少々違和感の残る妙な席順であるが、

この辺りからうすうす子供建が何をしたかったのかに気付いて来た私だった。

 

思い思いに店主に注文を告げながらも、カカシを囲むように座る子供達はちらちらと彼の口元が気になってしょうがない様子。

ああなるほど、そういう訳ねとくつくつと笑いを噛み殺しつつ、少し呆れて頬杖を付いた。

そしてメニューを見て少し迷った末に、私は敢えてチャーハンを注文した。今日は何だか米が食べたい気分。

 

結論としては、子供達は一瞬で惨敗であったらしい。

私はマイペースにチャーハンを突ついていたので見逃したが、子供達の息をのむ音がしてゆるりとそちらを見れば、

先程出されたばかりのカカシの丼はすでに平らげられ、彼はごちそうさまと手を合わせているところだった。

何食わぬ顔で素知らぬ振りをするカカシの両隣の、唖然としたような、がっかりしたような、驚愕したような、固まる有り様の面白い事。

早過ぎてみえなかったってばよ…、と云う呟きが虚しく聞こえて来た。 

 

蓮華を持つ手を震わせながら反対側を向いて必死に笑いを堪えている私にも気付かないらしく、

三人はあからさまにがっくりと肩を落とし、一世一代の重要任務の失敗を悟ったようだった。

団子を大量消費したり、ラーメンを一瞬で食したり、忍者という職業はとてもハードなようである。

…忍者あんまり関係ないな。

 

 

暫くはがっかりモードが続いていた一同であったが、気を取り直して普通に賑やかな夕餉を楽しむ事にしたようだ。

隣りに座るサスケは相変わらず仏頂面と云うか、興味等無いと云うスタンスを貫いてはいたが、

机に乗り出すようにして奥からナルトやサクラが好奇心いっぱいに私に投げかける質問や、それに対する私の返事に、

実はしっかり耳を傾けて聞いている事に気付いて可笑しかった。

 

「…で、そんでオレがねぇちゃんの時計を返したんだってばよ!」

 

サスケに気を取られている間に、ナルトがサクラ達に私と知り合った経緯を話していたらしい。

全くもって口の軽い忍者だと半分呆れながら笑い、彼に適当に同意してやる。

 

「そんなに大事なものってことは、もしかして恋人から頂いたものだったり!?きゃーっ!」

 

何ともコメントし難い想像の飛躍を見せたサクラが、ちょっと頬を赤らめて私にきらきらと期待の眼差しを向けるが、

悪い、それには到底答えられんと思いながら苦笑いをした。

 

「…残念ながら、そういったものではありませんよ。

 あの懐中時計は、私が主様に拾われて、使用人を始めてまだ間もない頃に主様が下さったのです。」

 

そして主様とはどんなひとなのかと問われ、しばし腕組みをして考える。

先程からカカシはほぼ聞き手に徹しているようで、今も私の話を聞くともなく聞いていた。

それでも決してどんな些細な事も聞き逃さず、好奇心ではなくただの情報として耳に入れているのに気付き、少し不快に感じられた。

職業病だろうと諦めを付けながら、再び口を開く。

 

「主様は…そうですねぇ、一言で表せば、オネェ口調のごついおっさん、でしょうか。」

 

あは、と笑いながら告げた身も蓋もない表現にカカシ迄もが少々呆れた顔をしていた。

 

「しかしまぁ、見た目はそんなですが、情深く寛容であり、何処か人を惹き付ける力のある方だと思っておりますよ。

 私のような身元のよく分からない者に対して居場所を与え、分け隔てなく接して下さいますし、

 失敗すれば何がいけなかったかを示し、ちゃんと反省すれば赦して下さる。此の時計を頂いた時にしてもそうです。

 私がある日云われていた時間に遅れてしまった事があるのですが、平謝りする私に、

 『嘘をつく人間と時間を守れない人間は、信用されないものよ、気を付けなさい』とおっしゃってあれを下さったのですから。」

 

成り行きでつい余計な話までしてしまったと少し後悔して話を切った所で横を窺えば、

カカシが子供三人のじっとりとした批難の視線をわざとらしくスルーしているところだった。

その構図はどういう意味なのかと思えば、ナルトとサクラだけでなく珍しくサスケまでも口を開き、カカシの遅刻癖を一斉に責め始める。

 

ああ、引っかかったのは其処か、と呆れてカカシをみるとふと目が合い、にっこりと心の見えない笑みを向けられた。

其の笑顔がどうにも居心地が悪いもので、何故が少しぞくりと背筋が粟立つのを感じて、失礼にならない程度に何気なく眼を逸らした。

 

理由の分からないこの不安が、杞憂なら良いのだが。

そう思いながら、未だ続く彼らのやりとりに曖昧に笑ってみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

next.

 

(10.4.1)

 

 

 

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