04 上司部下(ハボック少尉、マスタング大佐)


「大佐ー。本当にまだいいんですかー。」


「良くはないが、私はまだ戻るつもりは無いぞ?ハボック。」


平然と云ってのけるマスタング大佐を少し呆れたように窺いながら、ゆっくりと煙を吸った。

この大佐の、山積みの書類からの逃避なんてものに付き合ってしまった俺が馬鹿でした。

あともう時間の問題で、この静かな簡易休憩所にホークアイ中尉が来るだろう。

静かに強かに怒られるのは、元凶であるマスタング大佐だけでなく、自分も含まれるのだろう。

先が思い遣られて戸惑い呆れているわけだが、それでも、どうしてだか、

悠長に、あぁ煙草が旨い、なんて考えてしまう。それも性分であった。


「煙草を一本くれるかね。」


「あ、いいですよ。どうぞ。」


渡した細い白い筒を銜えたのを確認して、マッチを擦る。

極当たり前に火を差し出したことと、大佐が極あたりまえにありがとうなんて云って、

煙草に火を付けたことが、あまりにありきたりだった。


「何かよくわかりませんけど、俺、これからも大佐に付いて行きますよ、多分。」


頭を掻きながらぼんやりと云って、俺は大佐の顏も見ずに休憩所を出ていった。

後ろでにやにやと笑う上司の顔が想像できて少し癪に障りもするが、

丁度少し廊下を行った辺りで、厳しい表情をしたホークアイ中尉と擦れ違った。

へ、ざまーみろ、なんて考えたことは、俺の胸にだけ留めておくつもりだ。






(04.1.29)


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