10 殲滅戦(マスタング大佐、ヒューズ中佐/イシュヴァール殲滅戦時)
殺すのに意味もへったくれも無い、ただお前は全てを消せ。
そう云った意味合いが込められた召集礼状が足下にひらりと落とされた。
それを放った悪友はにやりと皮肉な笑みを浮かべて私に対峙する。
「ようやく来たのか。」
「おう、そのようだ。いってらっしゃい焔の錬金術師さんよ、ようこそ地獄へ、ってね。」
とうに覚悟はしていたし、怖れはしたが恐くは無かった。
生き抜くことに疑問はないし、この悪友が私に向かって笑っているのも不思議じゃ無かった。
ただ、ハッと、下らないと、何者でもない何かに悪態をついて嘲笑してやりたい気分だ。
「ヒューズ、お前は?」
「お前さん程最前線にゃ行かねぇよ。」
「だろうな。」
拾い上げた書類を握りつぶし、指先から産まれた焔に飲み込ませた。
焼け野が原を、手に取るように思い描く事が出来る。
すべてを消してやろうじゃないか。
全てを踏みにじってやろうじゃ無いか。
そうして、来るべき日に、采配を振るう狡猾な畜生共を脅かすのが楽しみだ。
(04.1.29)
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