マスタング二択物語。

舞台は東方で御座居ます。

(*カップリングはありません)

(*オチも特にありません)

(*本当に軽い読み物です)






〜ますたんぐ物語〜


良く晴れた日の午後、エドワードは掌で日射しを遮りながら赤い上着を小脇に抱え、

聳え立つ東方指令部を恨めしげに見上げて溜め息を吐いた。

軍に関係する場所はもともと好んで立ち入りたい場所でも無く、

その上彼にとって此の指令部の司令官は相当に食えない人物であり、最も会いたく無い人物でもあった。

不服そうな表情が露骨に表れて居たのだろう、隣にそっと立つアルフォンスが呆れたように云う。


「兄さん、ほら、早く行こうよ。

大佐との約束の時間、本当はもうとっくに過ぎてるんでしょう?

最近もいろいろ忙しいみたいだし、待たせちゃ悪いよ。」

「あーわかった、わかったよ。」


複雑そうに眉を寄せながら歩き出すエドワードと、兄に少し遅れて歩くアルフォンス、

2人の兄弟は建物の落とす濃い影に飲み込まれて行った。


***


司令官執務室の黒い扉はひどく重々しく壁に埋め込まれ、

建物内部の慌ただしさを他人事のように受け流してただ其処に存在を固めている。

しかしそんな扉の存在感など、エドワードにとっては無意味なものであり、

彼は扉を躊躇無く何度も叩いた。


「たいさたいさたーいーさー。」

「…鋼の、そう何度も呼ばなくても聴こえているよ。」


エドワードの投げ遺りな問いかけをやめさせようとするかのように自ら扉を開いたマスタング大佐は、

呆れたような微苦笑を浮かべて兄弟を部屋へ招き入れた。

ふと、エドワードはマスタング大佐の服装を見て一瞬不思議そうな顔をする。


「大佐、これから何処かに出かけるんですか?」


軍服である事には変わりは無いながら、珍しく正装をしているマスタング大佐を見て、

先にそう問い掛けたのはアルフォンスの方だった。

マスタング大佐はあぁ、と一つ意味も無く頷き、言葉を続ける。




「これからハクロ将軍に謁見しに行かなくてはならないのでね。」


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